スタミナは1つじゃない — MMAが要求する「3つの燃料系」のミックス
「スタミナがある/ない」という言い方はMMAでは粗すぎる。火力・継続力・回復力という3つのステータスと、それを担う3つの燃料系の関係から、MMAという競技がスタミナをどう要求しているのかを読み解く。

「あの選手はスタミナがある」「後半失速したのはスタミナ不足だ」——MMAの試合を見ていれば、誰もが口にする言葉だ。だが「スタミナ」という一語は、MMAという競技に対してはあまりにも粗い。
走り込みを積めばスタミナはつくのか。サーキットを回せば足りるのか。本稿では、まずスタミナを「火力・継続力・回復力」の3つのステータスに分解し、そこから3つのエネルギーシステムの関係を見ていく。最終的にUFC Performance Institute(以下UFC PI)が公開している階級別データに突き当たるところまで、段階的に降りていきたい。
スタミナは「火力・継続力・回復力」の合計
最初にいちばん粗いメンタルモデルを置いておく。MMAの試合中、選手の身体は大きく3つのステータスを切り替えながら使っている。ゲームのキャラクターステータス風に並べるとこうなる。
| ステータス | やっていること | 試合での典型シーン |
|---|---|---|
| 火力(出す) | 短時間に最大の出力を発揮する | KOパンチ、テイクダウンの初速、スプロール |
| 継続力(続ける) | 高い出力を一定時間維持する | 壁レス、連続グラウンド&パウンド、押し込み合い |
| 回復力(戻す) | 出した直後に素早く回復する | 局面間の数秒、ラウンド間の1分休憩 |
「スタミナがある選手」とは、この3つのステータスをどれも高い水準で、しかも切り替えながら使える選手のことだ。1つだけ尖っていても足りない。KOパンチを当てた直後にスクランブルに巻き込まれ、押し込まれてから1分後にまたパンチを振らされる——MMAという競技はそういう要求の仕方をしてくる。
補論:ゲームのステータス画面風に翻訳すると
火力ゲージは必殺技で消費され、乳酸ゲージは持続で溜まる。下段の有酸素ステータスは、両ゲージの回復速度・減衰速度・閾値(VT1)に効く支配的な基礎値として描かれている。
上の3ステータスを、もう一歩ゲーム的に翻訳しておく。ゲージとステータスの形で並べると、3つの要素がどう動的に絡むのかが見えやすくなる。
- 🔥 火力ゲージ(消費型 — HPのように減る)
必殺技=KOパンチ、テイクダウンの初速、スプロールで一気に消費する。数秒で枯れる。容量はアラクト酸系のトレーニング(爆発的なレジスタンス、ジャンプ、ショートスプリント)で増やせる。 - 🧪 乳酸ゲージ(蓄積型 — 負債のように溜まる)
攻撃や防御を持続するほど溜まっていく。MAXに達すると筋肉が動かなくなる。耐えられる量(容量)は解糖系容量のトレーニング(高乳酸下での反復インターバル)で増やせる。 - 🫁 有酸素ステータス(基礎ステータス値)
火力ゲージの回復速度を上げる。乳酸ゲージの減衰速度を上げる。さらに、乳酸ゲージが溜まり始める閾値(VT1)を後ろにずらす。
ここで気づくのは、3ステータスのうち「継続力」だけは独立した基礎値ではないことだ。「相手の攻めをどれだけ持ちこたえられるか」は、乳酸ゲージの総量 × 有酸素ステータスの減衰速度の合算でしか測れない。継続力は、この2つから生まれる派生スコアとして現れる。
つまり、本当に独立してトレーニングで太らせるべき要素は3つある——火力ゲージの容量、乳酸ゲージの容量、有酸素ステータスの値。そしてその中でも有酸素ステータスは、2つのゲージの両方の動きに効いてくる支配的な基礎値になっている。これが「走り込みだけ」では足りない理由でもあり、同時に「走り込みは絶対に必要」と言われ続ける理由でもある。有酸素ステータスは万能ではないが、欠かすと他のすべてが伸びない。
以降の章では、この概念モデルがなぜそうなるのか、生理学的な根拠まで降りていく。
3つのステータスを担う「3つの燃料系」
そもそも「3つの燃料系」とは、筋肉を動かすATP(アデノシン三リン酸)の作り方の違いのことだ。ATPは筋収縮を直接動かすエネルギー分子で、筋肉にはほんの数秒分しかストックされていない。だから運動を続けるには、ATPを作りながら使う必要がある。その「作り方」が最速・中速・低速の3パターンに分かれている——というのが3つの燃料系の正体になる。
| 燃料系 | ATPの作り方 |
|---|---|
| 無酸素アラクト酸系 | クレアチンリン酸からATPを”その場で”作り直す(最速、数秒で枯渇) |
| 無酸素解糖系 | 糖を酸素なしで分解してATPを作る(中速、副産物として乳酸が出る) |
| 有酸素系 | 糖や脂質を酸素で燃やしてATPを作る(低速、ほぼ無尽蔵) |
この3つのエネルギーシステムが、先ほどの3ステータスにきれいに対応する。
| ステータス | 担う燃料系 | 動く時間軸 |
|---|---|---|
| 火力 | 無酸素アラクト酸系(ホスファゲン系) | 数秒〜10秒程度 |
| 継続力 | 無酸素解糖系(乳酸系) | 30秒〜2分程度 |
| 回復力 | 有酸素系 | それ以上、回復局面全般 |
それぞれを少し丁寧に見ていく。
無酸素アラクト酸系 ——「火力」担当
筋肉にストックされているATPを直接使い、すぐ枯れる分をクレアチンリン酸から”その場で”作り直す系統。酸素も乳酸も介さず、瞬間的に最大出力を叩き出せるのが特徴。代償として持続時間は短く、数秒〜10秒で枯れる。
KOにつながる連打、テイクダウンの一発目、スプロール、フェンスからの逃れ——爆発的な瞬間はだいたいこの系統が回している。
無酸素解糖系 ——「継続力」担当
糖(グリコーゲン)を酸素なしで分解してエネルギーを取り出す系統。アラクト酸系より少し時間軸が長く、30秒〜2分の高強度を維持できる。代償は乳酸の蓄積で、長く回し続けると筋肉が”重く”なる。
壁際の押し込み合い、連続グラウンド&パウンド、ラウンド中盤で続くスクランブル——「ガリガリ削り合う」局面はだいたいこの系統。
有酸素系 ——「回復力」担当
酸素を使って糖や脂質をゆっくり燃やす系統。出力は低いが、ほぼ無制限に回し続けられる。試合中の役割をひとまず3つに整理しておく。
- 持続的供給:5分ラウンドのベースペースを支える
- 回復:ラウンド間1分休憩での心拍と呼吸の戻し
- 再充填:局面間でアラクト酸系の燃料(クレアチンリン酸)を作り直す
——ここまでが、3つのステータスと3つの燃料系の対応関係。だがMMAのスタミナを理解する核心は、ここから先にある。有酸素系を「回復力」とだけラベリングしてしまうと、本当に大事な役割を見逃すのだ。
「回復力」だけじゃない — 有酸素系が火力と継続力を背後で支える
3つの燃料系は独立に並んでいるわけではない。有酸素系が、火力(アラクト酸系)と継続力(解糖系)の両方を背後で支えている。これが本稿の核論点になる。
下の「有酸素ベース」から上の2タンクへ3本のパイプが伸びる。①再充填と②乳酸処理は他系を”使いながら作り直す”役割。③閾値引き上げはタンクを迂回して上向きに抜け、“そもそも他系を使わずに済む領域”を広げる役割を示す。
ここで言いたいことは2段階に分かれる。前半は「『回復力』の中身を高解像度で見ると、それはラウンド間休憩で戻すだけの話ではない」という解像度上げ。後半は「そもそも『回復』という枠組みでは捉えきれない、別の役割がある」という枠超え。順に見ていく。
前半:「回復力」の解像度を上げる — 試合中リアルタイムで他系を作り直している
まず、有酸素系の役割のうち、広く「回復」と呼ばれてきた領域を細かく見ていく。ラウンド間1分休憩で心拍を戻すのも回復だが、それより重要なのは、試合中リアルタイムで他の系のATP製造を補助し続けている部分だ。
① 火力(クレアチンリン酸)の再充填
KOパンチを1発撃ったら、アラクト酸系の燃料はその数秒で大きく減る。だが試合は止まらない。次のラウンド、次のスクランブルで、また爆発力が要求される。
その合間の数秒〜数十秒で、クレアチンリン酸を作り直しているのが有酸素系だ。UFC PIはこう書いている。
高強度運動開始わずか1分で、有酸素系は全エネルギー産生の最大50%を担う。
つまり有酸素系のエンジンが小さいと、火力そのものは残っていても”連発”できなくなる。「後半になってからパンチが当たらなくなった」のは、パンチ力が落ちたのではなく、パンチを撃つための燃料の再合成が間に合っていないことが多い。
② 継続力の副産物「乳酸」を処理する
解糖系を回し続けると、副産物として乳酸が溜まる。乳酸そのものは疲労物質というより、それが処理しきれないと水素イオンが残って筋収縮を妨げる、というのが現代的な理解だ。
この乳酸を血流に乗せて他の組織(心筋・遅筋線維・肝臓)で再利用したり、酸化処理したりするのが有酸素系の仕事になる。乳酸の処理能力が高い選手ほど、解糖系を長く回せる。同じだけの継続力(解糖系容量)を持っていても、有酸素系が強い選手のほうが「ガス欠まで」の時間が長くなる。
——①と②をまとめて言えば、有酸素系の”回復”とは、ラウンド間休憩でハァハァを止めるだけの話ではない。試合中の局面と局面の数秒〜数十秒、つまり動きながら同時並行で、火力と継続力のATP製造を背後で動かしている。「回復力」を高解像度で見ると、その本質は”使ったあとに戻す”よりも”使いながら作り直す”の比重が大きい。
後半:「回復」という枠を超える — そもそも他系に頼らずに済む領域を広げる
ここからは、回復という言葉では捉えきれない、有酸素系のもう1つの役割に入る。
③ 閾値の引き上げ — 継続力に頼らずに済む範囲を広げる
有酸素系の能力は、単に「ハァハァしながら走り続けられる距離」では測れない。換気性閾値(VT1・VT2)という指標があり、これが高いほど「ある強度までは有酸素系だけで賄える」範囲が広がる。
UFC PIが公表しているUFC選手のVT1(無酸素性閾値)は、概ねVO2peakの63〜73%。つまり最大酸素摂取量の3分の2近くまでは、有酸素系だけで動ける。ここを引き上げれば、同じワークレートを「解糖系を使わずに」「乳酸を出さずに」こなせる時間が伸びる。
結果として、継続力のスタックが本当に必要な高強度局面のために温存される。
——これは①②とは質的に違う話だ。①②は「使ったあとに作り直す」「使いながら処理する」という、回復の延長線上の仕事。だが③は、そもそも継続力(解糖系)を使わずに済ませる領域を広げる話で、回復という枠組みの外側にある。「ガス欠を素早く戻す力」ではなく、「ガス欠を起こさない領域そのものを広げる力」と言ってもいい。
ここまでをひとことで
3つの燃料系の関係を、1行で言い切るとこうなる。
無酸素系(火力+継続力)は「出せる量」と「繰り返せる回数」を広げる。有酸素系は「そこに頼らずに済む領域」と「頼った後の戻りの速さ」を広げる。
「スタミナをつける=走り込みを増やす」という言い回しがざっくりしすぎているのは、走り込みは主に有酸素系の3番目の役割(継続力に頼らずに済む領域を広げる)にしか効かないからだ。火力のタンクと継続力のタンクは、別の方法で太らせる必要がある。
そして有酸素系を「回復力」とだけ理解していると、それが火力と継続力をどれだけ背後から支えているかが見えなくなる。
MMAという競技は3つ全部を要求する
ここでようやく、MMAという競技性に話を戻す。UFC PIはMMAをこう定義する。
相手という外的抵抗に対して、反復的に力を発揮しなければならない高強度・間欠的スポーツ。
タイトル戦は5分5R、計25分。だがその25分は均一なペースで進むわけではない。各ラウンドは6〜36秒の高強度局面と、その2〜3倍の長さの低強度局面が交互に現れる間欠的な構造を持つ。
- 高強度局面(6〜36秒):パンチ連打、テイクダウン、壁際の押し込み合い、スクランブル
- 低強度局面(その2〜3倍):間合いの取り合い、フェイント、距離調整、回復のための呼吸
KOやTKOが起きるのは高強度局面の中だ。その瞬間に「火力」が要る。だがそこに至るまでに何度も繰り返される低強度局面で「回復力」が働かなければ、必要なタイミングで火力を取り出せない。そしてラウンドが進むにつれ、「継続力」が試される長い打ち合いやグラップリングが挟まる。
筋力が足りなくて負ける選手は多くない。だが相手のワークレートに代謝的コンディショニングが追いつかず敗れる選手は非常に多い。(UFC PI 第10章)
3ステータスのうちどれが欠けても、欠けたところからガス欠が始まる。
隣接競技と比べると、MMAの位置がわかる
MMAは複数の格闘技の混成だが、ベースになる隣接競技はそれぞれ別の代謝プロファイルを持つ。UFC PIが第33章でまとめた表が分かりやすい。
| 競技 | Work:Rest比 | 試合中の血中乳酸 |
|---|---|---|
| ブラジリアン柔術 | 6:1〜10:1 | 10.1 mmol/L |
| レスリング | 2:1〜3:1 | 14.8〜20.0 mmol/L |
| 柔道 | 2:1〜6:1 | 12.3 mmol/L |
| ムエタイ | 5:1 | 9.72 mmol/L |
| ボクシング | 4:1 | 12.0〜13.5 mmol/L |
Work:Rest比は「動いている時間」対「休んでいる時間」の比率で、これが大きいほど局面間の密度が低く(≒柔術はじっくり)、小さいほど密度が高い(≒レスリングは休みなく動く)。血中乳酸値は無酸素解糖系がどれだけ回ったかの代謝指標で、高いほど「継続力を酷使した」ことを意味する。
並べてみると、レスリングの乳酸値が突出していることがわかる。柔術はWork:Rest比が大きく、解糖系の負荷自体は中程度。ボクシングとムエタイはその中間。
MMAはこのどれにも当てはまらない。「レスリングの高乳酸×打撃の瞬発×柔術の持続」を同じ試合の中で要求される競技なのだ。これは先ほどの「3ステータス全部を要求される」を、隣接競技の視点から言い換えたものになる。
階級で「要求プロファイル」は変わる
3ステータスが全部要求されるとはいえ、その配合は階級によっても変わる。UFC PIが公表した実測値の一部を抜粋する。
体重あたりのVO2peak(最大酸素摂取量, ml/kg/min)— 「回復力」と「閾値」の指標
| 階級 | VO2peak |
|---|---|
| 男子フライ級 | 57.9 |
| 男子バンタム級 | 54.2 |
| 男子フェザー級 | 55.0 |
| 男子ライト級 | 52.5 |
| 男子ウェルター級 | 52.2 |
| 男子ミドル級 | 49.7 |
| 男子ライトヘビー級 | 47.6 |
| 男子ヘビー級 | 39.9 |
3分バイクテストの相対パワー(解糖系パワー, W/kg)— 「継続力」の指標
| 階級 | 相対パワー(W/kg) |
|---|---|
| 男子フライ級 | 3.82 |
| 男子バンタム級 | 3.70 |
| 男子フェザー級 | 3.63 |
| 男子ライト級 | 3.69 |
| 男子ウェルター級 | 3.63 |
| 男子ミドル級 | 3.65 |
| 男子ライトヘビー級 | 3.31 |
| 男子ヘビー級 | 2.97 |
体重あたりで見れば、軽い階級ほど回復力(有酸素能力)も継続力(解糖系パワー)も高い傾向がはっきり出る。これは観戦感覚とも合致する。フライ・バンタム級の試合は1ラウンド目から終盤まで打撃の応酬とテイクダウンの攻防が止まらない一方、ヘビー級は爆発と休みのコントラストがより極端になる。
軽い階級のファイトを支えているのは「スタミナの絶対値」ではなく「体重あたりの代謝能力の高さ」ということになる。
「フライ級は手数が多くてすごい」を、印象ではなく数値で説明できるのがこうしたデータの強みだ。
ガス欠の2パターン — 同じ「スタミナ不足」でも処方は逆になる
ここまでで、スタミナは3ステータスの重ね合わせであり、3つの燃料系の関係性で支えられていることを見てきた。だが現場のコンディショニングは、ここから先が本番になる。全員に同じ”地獄メニュー”を課しても、噛み合わない選手が出てくる。
UFC PIが第33章で紹介する個別化の例が分かりやすい。
パターンA:火力特化のスロースターター型
- プロファイル:単発の出力(火力)は高い。アラクト酸系の爆発力は十分。
- 試合での症状:序盤に温まらず、エンジンがかかる頃には判定の劣勢になっている。
- 必要な処方:有酸素能力を底上げしてVT1を引き上げる(回復力・閾値)。低強度ベースを増やす。
パターンB:1Rは強いが後半失速する型
- プロファイル:VO2peakが低く、継続力(解糖系容量)も小さい。だが火力は高い。
- 試合での症状:1Rで決められないと2R以降に出力が右肩下がり。グラップリングで消耗する。
- 必要な処方:VO2peakの底上げと、継続力の強化(高乳酸下で動き続ける能力)。
両者とも「スタミナがない」と一括りにされがちだが、燃料切れの起き方がまったく違うので、処方も逆になる。スロースターターに高強度インターバルを延々と回しても、もともと優れた火力をさらに尖らせるだけで、本当の弱点である有酸素ベースは埋まらない。逆に、後半失速型に低強度のロードランをひたすらやらせても、継続力は伸びない。
ここに**「スタミナをつける=走り込みを増やす」式の発想の限界がある。UFC PIが繰り返し主張するように、設計の順序は①競技分析→②選手評価→③不足資質の特定→④期分けへの配置→⑤種目選択**であって、種目選びから入らない。
まとめ — スタミナは「重なり」として見る
最後に、本稿の論点を整理しておく。
- スタミナは「ある/ない」の一次元の量ではなく、「火力・継続力・回復力」の3ステータスの合計として見るべきもの。
- 3ステータスはアラクト酸系・解糖系・有酸素系という燃料系に対応するが、有酸素系は単なる「回復力」ではなく、火力と継続力を背後で支える土台。
- MMAは6〜36秒の高強度と2〜3倍の低強度が交互に現れる間欠的競技。3ステータスを切り替えながら同時に要求される。
- 隣接競技を並べると、MMAはレスリングの高乳酸・打撃の瞬発・柔術の持続を同じ試合に重ねた構造になっている。
- 階級によって配合は変わる。軽い階級ほど体重あたりの代謝能力の絶対値が高い。
- 同じ「ガス欠」でも、スロースターター型と後半失速型では処方が逆になる。「足りない燃料系を埋める」設計が必要。
冒頭の1行に戻ろう。
無酸素系(火力+継続力)は「出せる量」と「繰り返せる回数」を広げる。有酸素系は「そこに頼らずに済む領域」と「頼った後の戻りの速さ」を広げる。
「スタミナがある選手」と言うとき、その内訳が火力の連発なのか、継続力の耐性なのか、回復力の速さなのか——そこを意識して試合を観ると、見えてくるものが一段増える。後半ラウンドの一発が当たった瞬間、それは有酸素エンジンに支えられた火力の再点火かもしれない。スタミナとは、そういう重なりの結果として現れる現象なのだ。
参考資料
- UFC Performance Institute『Cross-Sectional Analysis Volume 2』(2021)第10章「Energy Systems and Bioenergetics」、第33章「Energy System Development for General Preparation」
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