伊澤星花チャレンジ生の試合を見て感じた、伊澤の行き着く先

DEEP JEWELS 51で伊澤星花チャレンジ生の竹林エルと岡美紀がそろって勝利。日本女子MMAの構造的課題、伊澤選手の練習環境改善、2026年のスーパーアトム級の展望まで徹底解説します。

MMAコラム・考察
伊澤星花
伊澤星花チャレンジ生の試合を見て感じた、伊澤の行き着く先

昨日行われた DEEP JEWELS 51(2025.11.23) にて、伊澤星花チャレンジ生の2名が試合を行いました。

📝 (おさらい)伊澤星花チャレンジとは?

伊澤星花チャレンジは、伊澤星花選手が主導する女性格闘家向けの育成プロジェクトです。 打撃・寝技・戦術・メンタル・減量管理・SNS発信力など多岐にわたり、総合格闘家に必要な要素を伊澤選手が直接指導します。 また、住居完備・参加費無料という手厚い環境も特徴で、選考を通過した「チャレンジ生」たちが千葉・松戸を拠点に活動しています。

今回試合したのは以下の2名です。


竹林エル

幼少期から空手を経験し、高校生でMMAを始め、アマチュア連勝からプロでも勝利。そのタイミングで“JK女子格の新世代”としてRIZINに呼ばれたが、相手の計量オーバーによりノーコンテスト扱いの敗戦となった。

その後DEEP JEWELSで活動していたが、2023年の試合で全治1年の大怪我を負い、一度競技を離れることに。復帰を目指して動き出したタイミングで伊澤チャレンジの募集が行われ、応募・参加に至った。

基本は空手ベースのストライカーだが、チャレンジ加入後はステップワークを駆使したストライキングが際立ち、蹴りの精度も向上。ダメージもポイントも取りに行ける“勝つための打撃”が身についている。

また、グラップリング力も向上し、サブミッションに固執せず、上を取ってパウンドするMMA型のスタイルが明確になった。

かつてケイト・ロータスと対戦した際には、ケイト側のセコンドが伊澤選手だったため、いま竹林が伊澤チャレンジに所属しているのは、キャリア的に少し面白い位置付けと言える。


岡美紀

幼少期から大学まで柔道一筋。その後競技を離れたが、フィットネス目的で通ったムエタイジムをきっかけに格闘技へ興味を持ち、そのタイミングで伊澤チャレンジの募集があり応募した。

柔道出身らしい強力なフィジカルと体幹の強さが武器で、グラップリングでは上からの固め、壁レスでは柔道技を生かした崩しが得意。 ここから寝技全体の精度が上がれば、本当に1年以内にDEEP JEWELS王者が見えるポテンシャルを持つ選手である。


今回の試合内容

● 竹林選手

-49kgで実績のあるサラ選手を相手に、キック主体のスタンドで優勢。 そこからパンチコンビネーション→綺麗なタックルでTDも成功。 グラップリングでは下からの足関への対処も冷静で、上を取ってパウンド。 スクランブルでも勝り、バックを取って四の字ロック~RNCまで繋げ、 全局面で優勢の判定勝ち。

● 岡選手

ストロー級での試合。スタンドはまだ慣れていない中でもパンチを当て、タックル→壁レス→TDと繋げ、柔道の固めによるパウンドでポイントアウト。 危なげなく判定勝利。


2人の試合を見て感じた“伊澤星花”の未来

この2試合を見て最初に思ったのは、 伊澤選手、まだまだ強くなるな……という確信だった。

以前から指摘されていたように、

「同階級で、実力があり、動きの合う練習相手が極端に少ない」

というのが伊澤選手の課題だった。

JTTでの主な練習相手は

  • 藤野選手
  • せりな選手
  • 軽量級の男子選手

だが、

  • 藤野選手は女子トップでもスタイルが特殊
  • せりな選手は力不足
  • 男子は練習になるが“女子特有の攻防”とはズレる

という問題があった。

出稽古先の IDEA ASAKUSA・澤田千優選手との練習は非常に良いが、それでも 「同階級ストライカー」という条件を満たす相手は国内にほぼ存在しない。

これは日本女子格全体が抱える構造的な問題で、 多くの選手が「仲間=潜在的な対戦相手」という状態にあり、 マッチメイクの幅も狭くなっている。


竹林エルという“希少な練習相手”

そうした中で、竹林選手の復活は大きい。

竹林選手はRENAやケイトほどのパワーこそまだ無いが、 スピードとセンスなら、現時点でもスーパーアトム級トップレベルに食い込める。 フィジカルとグラップリングが伸びれば、確実にタイトル戦線に絡むだろう。

そんな才能ある同階級ストライカーが、伊澤選手の“日常的な練習相手”になる環境は、 狭い女子格界隈では本当に破格のアドバンテージである。


岡美紀という“フィジカルエリート”

岡選手がMMAを身につけていけば、 女子では稀なレベルのフィジカル上位パートナーとして 組み・壁レス・寝技の密度を一段階引き上げる存在になる。

ストライカー(竹林) × フィジカル&柔道(岡)

この2人が 1年間フルコミットで成長し続ける環境は希少であり、 伊澤選手にとっても最高の練習条件と言える。


2026年に見据えるスーパーアトム級の構図

2025年末の伊澤vsRENAで伊澤選手をもって、スーパーアトム級の第2章はひと区切りとなる。

  • 第1章:RIZIN旗揚げから新世代勇者の伊澤王者誕生まで
  • 第2章:第1章の強者たちを魔王となりはてた伊澤が駆逐し、最後の対決が伊澤vsRENAとなった

そして2026年、ベルト挑戦者候補として有力なのは:

  • パク・シウ(–49kg再降下)
  • ハム・ソヒ(ONEリリース後の動向)
  • HiME(大島・ケイト・重田を撃破)

特にHiME選手は、摩嶋選手と同門でありキャラクター性も高く、 ストーリー的にもプッシュされる可能性がある。 実力的にも“ワンチャン作れる”タイプ。

いずれにせよ、2026年もスーパーアトム級は激しく動く。

その時に、

竹林エル(ストライキング)× 岡美紀(フィジカル&柔道)

この組み合わせが日常的に揃っていることは、 伊澤選手のタイトル防衛ロードにとって極めて大きい。


最後に:伊澤星花チャレンジが作る“第3章”

RENA戦を乗り越えたその先、 2026年に始まるのはスーパーアトム級の第3章

伊澤チャレンジ生の急成長は、女子格の新しい風であるだけでなく、 伊澤星花という絶対王者の“進化の燃料” になっている。

彼女たちの存在が、 これからの伊澤星花をさらに強く、 そして物語としても面白くしてくれるはずだ。